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次の年の冬
ぎんなんの木がすっかりぎんなんを落とし終わり、そろそろ季節が変わろうというある日、区画整理でぎんなんの木が切られることが決まりました。
ぎんなんの木が切られるのは、次の年の冬だということです。
朝礼の時間に校長先生からその話を聞いたマサルたちはとても悲しくて、先生や家の人に何度もぎんなんの木を切ることをやめて欲しいとお願いしました。
でも、町をもっと良くするために決まったことだからやめることはできないと言われ、マサルたちは、ただその日を待つことしかできませんでした。
マサルは、真っ白な雪を乗せたぎんなんの木を、緑の葉をたくさん茂らせたぎんなんの木を、一緒にぎんなんを拾った仲間と一緒にずっと見ていました。
学校の登下校、学校がお休みの日……
何の用事があるわけでもないのに、登校の途中で立ち止まったり、休みの日に公園に行ってみたりして、ずっと見ていました。
もうすぐなくなってしまう木を。
大切な思い出の木を。
ぎんなんの木を。
夏が終わり秋になると、ぎんなんの木は去年と変わらずたくさんのぎんなんを落としてくれました。
(これが最後だと、この木は知っているんだろうか……)
マサルはそんなことを考えながら、一生懸命ぎんなんを拾いました。
たくさんのぎんなんと同じくらい、寂しさを感じながら。
そして、冬になりました。
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