2人が本棚に入れています
本棚に追加
私は目を覚ました。雨の音が聞こえる。かなり寝汗をかいている。体を起こすと、ひどい頭痛がした。第四頸椎から背骨全体、そして腰椎にまで及ぶ、いつもの激痛に襲われる予感がする。
明け方近くまで実験していたことを思い出した。ここしばらく、あまり寝ていなかった。
そんな日が続くと、必ずこの夢を見る。それは私が子どもの頃から繰り返し見続けてきた夢。私たち親子の遠い願い。
父の聴覚を取り戻すために、私は苦労して医学者になった。来る日も来る日も、歯を食いしばって、研究に打ち込んだ。
そして半世紀以上が過ぎた。今はもう、優しかった父も母も、この世界にはいない。治療法は見つからないままだ。
最初のコメントを投稿しよう!