翻訳師匠

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私が火鉢に炭を焼べ終える頃に寒そうに、お手伝いさんの希世さんがやって来られました。 「おはようございます。今朝も冷えてますね」 と希世さんは両の手を擦りながら入って来られました。 「今年は格別に寒いのかもしれませんね。シズカも小屋から出て来ませんし」 希世さんは厨へと入られ、早速に朝食の準備に取り掛かっておられました。 玄関の戸に掛けられた袋に届く新聞を食卓の先生の席に置いて、私は書斎へと入りました。 最近は朝食前に少し書き物をしております。 編集者の白井さんのおかげで少しずつ仕事も増え、先生に戴いていたお小遣いも戴かなくて良い程になって参りました。
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