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今日の暑さと先生のハーフパンツが乾きやすい生地だったようで、思ったより早く乾きそうだ。
「少しは乾きましたか?」
「まぁ……ズボンはな。まだパンツはやばいけどな」と言ってははっと笑う。
「あれー春?」
声の方を見ると、ショートカットでモデルのように手足の長い、ボーイッシュだけど、とても綺麗な女の人がいた。
「やっぱり春だー」
「静佳?」
先生とその女の人は、顔見知りのようで親しげに話をしている。
「かわいい子、連れてるじゃない。もしかして、彼……」
「静佳っ!紹介するよ。真野匠。昔のオレの教え子で、今の飯友達みたいなもんかな。で、真野。こっちは安藤静佳 。大学の時の友達だ」
先生は慌てた感じで、静佳さんを紹介してくれた。
「ふ〜ん……元教え子なんだ」
「あ、はい。高3のときの数学の先生でした」
静佳と呼ばれた美人の女の人にニヤニヤとした顔で見られ、ちょっと居心地が悪い。
「静佳ー。もう待ってよ」
そう言ってやって来たのは、静佳さんより小柄で美人というよりも、可愛らしい感じの女の人だった。静佳さんと同様、先生の大学時代の友達で、高畑柊子さんといった。
「えー!夕花里も来てるの?会いたい!!」
「じゃあ、コテージに戻るか。真野、悪いけどいいか?」
「あ、はい。大丈夫です」
まさか、ダメとは言えない。もう少し先生と2人でいたかったなと思いながら、コテージへと戻る。
ボクは柊子さんと、先生は静佳さんと並んで話しながら戻っていたけど、静佳さんと先生の距離感は近く、静佳さんは先生と腕を組んだり、耳打ちしたりしている。先生は、からまってくる腕を振りほどいてはいたけど、本気で嫌がっているわけではなく、仲の良さを見せつけられているようで、胸が痛む。
「真野くん。ごめんね。静佳、からかってるだけだけら……」
「えっ……」
そう言うと、もうそれ以上は何も言ってくれず、ただニコニコ笑っているだけだった。なんだが、柊子さんにはボクの気持ちが見透かされているようだ。
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