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「私、泳げるけど、ダムの中に潜るのは勘弁よ。第一、許可してもらえないし、許可されても潜水は苦手だし、装備もないし、水着もないし」
「あー、うるさい! 俺の願いを聞き入れないつもりか!?」
苛立つ少女に対して、ニャン七郎と長子が半眼になる。
「人間に対する不満をぶちまけていると思ったら、いつの間にかお願いしていて、こっちの都合も考えずに怒り出すとは、お前は情緒不安定な奴だな」
「それに、女子の格好で『俺』はおかしな言い方よの」
「黙れ! 骨抜き怪異め!」
「骨は抜かれてはおらぬわい」
ニャン七郎と長子が同時にミコトを見上げて、無言で『どうする?』と発言を求める。
「勾玉を取ってきて欲しいのね?」
「そうだ」
「なら、タケコさん。お願い」
ミコトの想定外の答えに、長子が目を丸くした。
「なにゆえ、わらわが行かねばならぬのじゃ!?」
「お前は白蛇だからな。水の中をスイスイ行けるだろう?」
「水蛇と一緒にするでない。……行けなくはないがな」
「ほら、白水蛇だ」
長子の猫パンチがニャン七郎の顔面を捉え、ミコトはプッと吹き出した。
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