打ち切りまでの経緯

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「先生! 今週も原稿ありがたく頂戴します!」 「ん」  深々と頭を下げ原稿を両手で受けとる四代目担当、宇崎(うざき)。 「それとですね、アニメ三期の件ですが、ストックも溜まってきましたしそろそろ開始してもいかがかなと」  それまで軽快に原稿用紙の上を走っていたペンがピタリと止まった。 「あー……宇崎君。ちょっといいかな」  クルリと椅子を半回転させると、気まずそうに目をそらしつつマンガ家は言った。 「オウガボウルなんだけどね、今やっているイチコロ大魔王編が終わったら連載を終えようと思っているんだ」  宇崎は四、五秒硬直すると、ひきつった笑顔のまま言った。 「またまた先生ご冗談を。オウガボウルは今やジャンパを代表する看板作品。アンケートは不動の一位ですしやめる理由が無いじゃないですか」 「そうなんだけど、連載を始めて5年になるわけだし、そろそろ話を畳んでもいいんじゃないかなと思って。描きたいことはあらかた描けたしさ」 「いやいや何をおっしゃいますか。まだ5年ですよ? この作品はこれからじゃないですか。アニメはもちろん映画化の話だって出てるんです。メディアミックスも色々と企画されているんです。今辞められたら大勢の人間に迷惑がかかるんですよ。ですから先生もう少しだけ! もう少しだけお願いします!」 「んー……。そこまで言うなら、もう少しだけ」  マンガ家は渋々次のシリーズの構想を練るのだった。
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