もう少し保険

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 開かれたページの上部には、大きく〈学習プラン〉と書かれていた。 『まず、こちらは学力や仕事の技術を補うプランです』  誌面には、あと数点で赤点を免れる学生や、営業ノルマにもう一歩届かない会社員など、なるほどと思うような事例とイラストが載っていた。僕にとっては納得を通り越し、共感しすぎて胸が痛いほどの話だ。  18の時、第1志望の大学に落ちた。自己採点での評価に過ぎないが、ギリギリで受かった奴との差は片手で足るものだった。  もう少し、もう少しだけ点が獲れたらと、あの頃、何度悔やんだことか。  進んだ第2志望の大学で知り合った先輩の紹介もあって今の会社に就職したので、怪我の功名というか、悪いことばかりでも無かったのだが。  これは特に要らんな、と思った矢先、またページが捲れた。やはり、この冊子は僕の思考と連動しているようだ。
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