7

12/12
前へ
/111ページ
次へ
「もうなんか訳わかんねえ。傍から見たら、普通に恋人同士じゃん」  半ば投げやりに言って、残った抹茶ラテを飲み干す。 「サツキとアンタが上手く行ってるってのは、まあ分かった。このまま話しても俺には理解できそうにないから、今日は一旦引くけど……サツキ」  つい、と目を向けられ、芽衣は思わず背筋を伸ばして「ハイ」といい返事をする。 「なんか困ったことがあったら言えよ」 「え、ああ、うん……」 「……今、大学生に相談しても、とか思っただろ」 「え!や、いやいや、そんなことは」  えへへ、と取り繕うように笑うが、イオは胡乱げな目を向けた。  ち、と一つ舌打ちを漏らすと、音を立てて席を立つ。 「じゃあ、またフィールドでな、サツキ」 「うん」  バッグを肩に引っ掛けながら踵を返すイオを見送って、どちらからともなく深い溜息を漏らす。 「――――― 結局、何だったんだ、彼は」 「さあ……」  芽衣にも良くわからず首を傾げると、肘をついてそこに頬を乗せ、片眉を上げて見てくる。 「……なんですか」 「彼、やっぱり君のことが好きなんだと思うよ」  したり顔で言われて、思わず、はっ、と小馬鹿にした息を吐いた。 「まさか」 「そうでなければ、あんなに食い下がる理由が思いつかない」 「意外としつこかったですね」 「うん。大切な友達、とは言ってたけど、たかだかネット上の知り合いに、あそこまでムキになるものかな。リアルの友達に対しても、ああいう熱いタイプだと思う?」 「それは何とも言えませんけど、ゲームの中では、パーティを組んだ仲間にそこまで干渉するタイプではないですね」  肘をついたままの姿勢でじっと見つめられ、芽衣はいたたまれなくなって「すみません」と謝ってしまう。  すると、春海は吹き出すように笑った。 「まあ、君も想定外だったみたいだから、もういいよ。これから、俺たちが険悪になったりしなければ、彼も首を突っ込んでくることはないだろう」  ついさっきまでのイオとのやり取りを反芻して、「そうですね」と頷いた。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加