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 春海の言う「古株」は、前社長、つまり会長である壮真のシンパと囁かれている面々だ。  もし、ここで春海がグレードの低い部屋に芽衣の両親を宿泊させたとして。  それを彼らが知ったら、ここぞとばかりにあることないこと、尾ひれはひれをつけて広めるに違いない。 「----- 絶対、鬼の首を取ったように嫌味を言ってきますね。何ならケチだなんだとあちこちに広めて回りそう……」 「そしてそれは漏れなく会長夫妻の耳に入る」  心底面倒と言いたげな渋面で苦々しく吐かれたそれに、思わず芽衣は頷いた。 「まあ、くだらないメンツのためと言えばそれまでだけど、やっぱり隙になるようなものは極力避けたい」  春海の言い分が分からない芽衣ではない。  菊枝にも変に目を付けられたくないのもわかる。  食事会でネチネチ言われたくもないし、と了承した。 「分かりました。両親には私から話しておきます」
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