優しくて残酷

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「はあ…っ」 俺は重たいため息をつきながら、パソコンにデータを打ち込む。 ここは、大手食品メーカーの開発部。 俺が大学卒業後からずっと勤めている会社だ。 「どうしたんですか…?新名(にいな)さん…今日、ため息凄いっすよ…」 隣の席の同僚、年下の岡田が俺に尋ねてくる。 「うん…あのさ…先週、彼女にフラれた… …」 「ええ…??マジっすか…?まだ1年も経ってなくないですか?…なんでなんすかね…そんな顔も良いのに…マジで俺不思議なんですけど…なんか原因って心当たり、あるんですか…?」 俺は岡田のかなり直球な質問に、内心ドキリとする。 「俺がもし女だったら、新名さんとか完全にアリですよ…その顔、そのスタイル…身長もあるしマジで男でも惚れ惚れするイケメンなのに…」 「そう…?複雑な心境だけど、ありがとう…原因…よくわからないんだ…」 さすがに職場の同僚に、 セックスの時に俺のそれが、勃たない…機能しないだなんて言えない…。 「まあ、元気出してくださいよ…新名さんならすぐにまた、女の子の方から寄ってきますって…今日は久々にぱあっと…飲みにでも行きませんか?」 そういえば最近、外に飲みに行っていない…。 たまには気晴らしにいいかもしれない。 俺はそんな風に思い「お…いいね、行こっかな…」そう返事をして、 仕事帰りに沈みきった気持ちを浮上させるべく、岡田と居酒屋へ向かった。
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