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いつもの癖で『キッチンスペース』という言葉を使ってしまったが、実際には、そんなカタカナが似合う区画ではない。中野の部屋は安アパートの一室なので、入り口近くの土間のようなところに、申し訳程度の流し台が設置されているだけ。それがこの部屋の台所だった。
冷蔵庫も、そんな安っぽい一画に似合う代物だった。表面には細かい傷がいくつもあって、中古で買ってきたのだと一目でわかる。全体的なフォルムも妙に丸みを帯びていて、おそらく何世代か前の型落ち品なのだろう。
「あの古そうな冷蔵庫が、どうかしたのか?」
友人たちの一人が尋ねると、中野は乾いた笑いを浮かべる。
「失礼なこと言うなよ。確かに、型番どころか、製造メーカー名すらわからんくらい、古ぼけた冷蔵庫だが……。あれは魔法の冷蔵庫なんだぜ」
彼は私たちの顔を見回しながら、おかしな質問を口にした。
「なあ、みんな。冷蔵庫の内部って、何色だと思う?」
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