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でも、いま、初めて彼の教え子で良かったと思った。
「先生」
「ん?」
「俺、先生のクラスでよかったです。たぶん、名波も」
「うれしいこと、言ってくれるね」
にっこりと飯塚は笑う。
「日が暮れたら鍵閉めるから。それまでに、ちゃんとケリつけて。…卒業したら、もう後ろなんて振り向かないように。前だけ向いてけよ」
佐倉の返事を待たずに、飯塚はとっとと踵を返す。声が震えていた。泣いているのを見られたくなかったんだろうか。
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