気が付いたら28歳

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気が付いたら28歳

「みちか、みちかー!あんた、お母さんの話、聞いてるの?!」 「…聞いてる、聞いてるって」 私、菱田みちかは貴重な昼休みに突然現れた母さんに引っ張られ、会社の近くの喫茶店に入り向かい合って座っている。母さんの用事は分かっている。お見合いをしろ!という話だ。今までこの喫茶店は会社の近くにあっても利用したことがなかったのに母さんのせいで常連さんになってしまった。 「いつになったらお見合いしてくれるのよ?あなたの成人式の写真を見てぜひ、お会いしたいと言ってくださってくれる方が何人かいるのよ?向こうの方に失礼じゃない」 「…私の今の状況を見てそんなことしてる場合じゃないって分かるでしょ。この不毛な話、いつまで続ける気?」 昼休みが終わってから行う会議に出す案について資料を見ながら再確認している私。資料の分厚さとこの真剣な顔を見ても分からないのか、うちの母さんは!
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