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「このお金は返します。雅也はここで暮らす契約としてもう一度確認をしておきましょう。まず家事全般をお願いします。そのかわり、家賃も食費も生きていく上で必要なお金は全て負担するわ。欲しいものがあったら言ってくれればお金は渡すし。あ、さすがに車とかは困るけど」
最後は冗談のつもりで言ったのだけど雅也は「それにしても好条件すぎる」と顔をしかめる。でもここからのお願いが本題だ。
「彼氏のフリをしてもらう、しかも私の親にばれないように演じるってすごい任務だからね!」
「そんなに…」
「大げさでもなんでもないの!私に対しての早く結婚しろというお説教半端ないもの。うまく演じてくれたら謝礼渡したいくらいよ!」
「そこまで…」
私のマグカップを持つ手が震えるのを見て、あわあわする雅也。そして私はあることが気になった。見るからに私と同じ歳だし言われないのかなあ、結婚しろって。聞いてみると雅也は苦虫を潰した顔をしてきた。
「俺、それ以前に早くまっとうに生きておくれと」
ああ…。
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