ルームナンバー315

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余計な一言のせいで再び沈んでしまった空気に耐えかね、私はジョッキの残りのビールをグビリと飲み干した。こういう時はメニューでも見ながら話題を切り替えるに限る。 「えーと、次何飲もうかな〜。カクテルもいいけどもう一杯ビール飲もうかな。神山さんはどうします?」 「えーと、じゃあ、僕は梅酒のロックで」 「あ、ビールより梅酒派なんですか?」 「ええ、まあ。実はそれほどお酒は強くなくて」 ……じゃあなんで飲みに誘ったのか。 疑問はさておき、追加注文した飲み物と料理が届けば、とりあえず目の前のご馳走とお酒に集中。パクパク食べて、飲んでとやっているうちに……目の前のイケメンは、ほんのり頬を赤らめて、すっかり出来上がっているのだった。 うん、酔ったイケメンは仕事中のキリリとした顔ともまた違い、多少気の抜けた表情がなんとも可愛らしく、それはそれで目の保養である。 っていうか、酒、弱いなー。 「……なんか、先程は、お恥ずかしい場面を見せてしまいまして」 意を決したのか、多少ろれつが回らない感じで重い口を開くイケメン。本日2度めの謝罪である。
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