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事後ということもあり、すっかり気だるい雰囲気になったところではあるが、ずっと心のどこかで引掛っていたことを聞いてみる。
「今更ですけど私とお付き合いして、大丈夫ですか?自分で言うのもなんですけど、私、地味だしこれと言った個性もないから、付き合っていて楽しいかどうかわかりませんよ?」
ポロリと弱音のようなものを吐いてしまうと神山透は、ぎゅうと腕に力を入れて、こう言うのだった。
「何言ってるんですか。僕がどれほど山本さんから好きと言って欲しかったことか!僕なんて、うっかり何度もプロポーズまがいのことを口にしちゃうくらい、山本さんのことが大好きなんですからね。」
……突然の衝撃告白。
えぇ?プロポーズ??
そんなのいつされてたっけ???
全く記憶に無いので軽く混乱しながらも、神山透の話に耳を傾けてみる。
「山本さんは優しくて可愛くて、話をしていてとっても面白くて、僕なんてもう、好きすぎて仕方ないんですから。」
私の髪を手で梳きながら神山透は蜂蜜みたいに蕩けるような声で囁いてくる。
緑の多い住宅地で一緒に暮らそう。
子供はできれば2人か3人。
山本さん似の足が甲高幅広の子と僕に似た甲薄幅狭の子。
仲良し家族みんな揃って、休日は噴水のある公園に遊びに行ったりしよう。
「……ね?僕なんて、山本さんとのこんな将来まで想像しちゃってるんですから。だから僕の「好き」を見くびらないでくださいよ?」
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