そしてハッピーエンド

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……そう説明すれば、イケメンはいよいよムスっとして、確かに紺野さんのおかげと言えばおかげかもしれませんけどね、と前置きしてから 「でも今回のことがなかったとしても、僕はそのうちきっと、山本さんのことを好きになったんだと思いますよ。」 と、言うのだった。 「今まで個人的に話をすることが無かったから好きにならなかった、って話なだけで、山本さんとちょっと会話を始めたら、僕はすぐに恋に落ちちゃった自信がありますもん。」 それくらいあっと言う間に好きになったんですから。あの、初めて二人で行った居酒屋でお喋りしていた時からもうずっと、山本さんと距離を詰めたくて仕方なかったんですから。 と、言いながら私の頭や耳にキスの雨を振らせてくる。 そんな、胸をくすぐる優しいキスを受けながら、 こちら地味子と今まで個人的に話をすることなど一度もなかったのだから、何事もなければこれまで通り、会話することはおろか、親しくなることはなかったのでは? と、現実的なことを考えながらも、神山透のその無自覚な甘い台詞がやっぱり嬉しくて、胸がきゅんきゅんしてしまう。 そして、そんな神山透のときめく言葉のお返しがしてあげたくなって、私は後ろを振り返って彼の首に腕を回すと、チュパッと軽くキスをするのだった。
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