ルームナンバー315

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「……だってねぇ?女性には優しく接しなければいけませんよねぇ?壊れ物のように大事に扱っていたのにあんな事言われて、じゃあどうすればよかったんですかねぇ?」 そしてそれから、もう一杯梅酒のロックを注文した神山透はしくしく泣きながら絡んでくる、たちの悪い酔っぱらいへと変貌したのであった。 「うーんまあ、一般的にはそうでもありますけど、ちょっと極端だったんじゃないですか?と、いうかその女性を大事に扱う精神はどこからきてるんですか?」 まるで英国紳士のようではないか。(ただのイメージだけれども) 「……母親から幼少の頃から言い聞かせられてきました……。」 「紳士たるもの女性に優しくなんて教育されるお母様、素敵ですね。外国の方なんですか?」 優しく微笑む麗しの金髪美女なんかを想像する。 「いえ、生まれも育ちも日本です。ただ、父と結婚する前に交際相手の男性にひどい扱いをされたとかなんとかで、子供にはそういう男に育ってほしくないと言ってました」 ……前言撤回。神山母の闇が深い!! 「えーとえーと、ご両親は……。」 「両親は大恋愛の末の結婚だったらしく、こちらが見ていて恥ずかしくなるくらい今も仲良しですね。」 人様の過去の話に触れてしまってオロオロするやら、現在の神山母が幸せとわかりホッとするやら、目を白黒させる私に気づかずイケメンはさらにホロホロ涙をこぼしながら話を続ける。 「女性が夜に何を望んでるかなんて、そんなのこっちはわかりませんよ。ねえ山本さん、女性は何を望んでるんですかぁ?」 ええ〜!なにその答えにくい質問!
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