ルームナンバー315

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答えたくないので巧みに質問をかわす私である。 「神山さんこそ彼女に今までどんなことしてしてたんですか?」 「えぇ?一般的なことですよ?」 一般的なことをどうやったら、紺野洋子が愚痴るところの「まな板の上の鯉みたいに何もしない」になるんだろう…… 「うーんうーん、多分神山さんのいう一般的なことと、世の女性が望む一般的なことって多分認識がずれてるんですよ。なので今回みたいな事がおきるというかなんというか。」 「えーじゃあ何が一般的なことなのか、もう全然わかりませんよぉ」 「……神山さんて、女性と付き合うの初めてだったんですか?」 質問のこじらせっぷりに思わず疑問をぶつけてみると、「えっ。いえ……彼女で4人目でしたよ。」と、イケメン。 「お付き合いの期間は毎回どのくらいだったんですか?」 「えーと…………」 するとイケメンは急に顔を曇らせる。 「いつも、大体半年くらいで、振られてました……。で、でも今までそんなこと言われたことなかったですよ!」 ……イケメンよ、そりゃ今までの彼女が優しさから、別れる本当の理由を言わなかっただけではないのか。憐れみの目を思わず向ける私に、イケメンは心外だとでも言わんばかりの顔をする。
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