ルームナンバー315

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打ちひしがられるイケメンも、また違った趣きがあって目の保養。うん、酒が進む。ビールおかわり! 肩を落とす神山透を酒のつまみに本日5杯目の注文をする私である。 しばらくすると、顔を両手で覆っていた神山透は、肩をポンポン叩いていた私の手首を掴んで肩から降ろし、そのままその手をテーブルの上に置くのであった。 おっと、調子に乗りすぎたかな。 謝罪の言葉を口にしようとしたところ、神山透の口から思いもよらぬ言葉が先に飛び出した。 「山本さんは、学生時代は何を専攻されてたんですか?」 ん?私の専攻? 「あー、先生って職業に憧れてまして、教育学部にいたんですよ。教員免許までは取ったんですけどね。厚い採用試験の壁に夢打ち砕かれたって感じです。」 大学で勉強してきたことと、社会に出てからの仕事は、結局関係なくなっちゃいますよね〜と自嘲気味な笑いを浮かべながら答えてみる。 「山本さん、僕はね、営業の仕事はしてますけど、本当は開発技術者になりたくて学生時代は機械系の研究室に在席してたんですよ。」 はあ、なるほど。 「だから、今でも研究とか開発って言葉が好きなんですよ。特に今まで常識であると考えられてきたことがひっくり返されて、新たな仮説と研究内容のやり直しを求められた時などは、真相究明に燃えるものがあるんです。」 ふんふん、なるほど。研究マニアなのね。 「僕は物事の真相を知りたい願望があって、山本さんは人に物事を教える夢があった。これって丁度いい組み合わせですよね。」 大変良い笑顔でニッコリ微笑むイケメン。 ん?なんでここで私の名前? なんだか話の雲行きが怪しいぞ?? 「…山本さんお願いです。女性が夜に何をどうして欲しいのか、ぜひ僕に、直接ご教授して頂けませんか?」 う、えええええええ??????
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