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そして現在、パネルの前。
イケメンはのんびり「部屋ごとになにかオプションが変わるんですかね?」などと言って興味深くパネルを覗き込んでいる。さすがは研究マニアである。
そんな神山透を尻目に、なんとなく他の客と鉢合わせするのは恥ずかしい私は「この部屋にしましょう!」と数ある部屋の中、315と書かれたパネルのボタンをさっさと押した。
部屋まで移動するエレベーターの中、「どうしてこの部屋にしようとしたんですか?」と問われるので、「まあ、なんとなくですかね。」と私。
強いて言えばルームナンバーの315は、ゴロあわせで言うと「さぁ行こう」となる。決意表明の表れであると伝えると、神山透はブフッっと吹き出し、「たまに山本さんて、おじさんみたいなこと言いますよね」と笑うのだった。
えー?そうかぁ?
こちらは地味とはいえ、まだまだ花ざかりの20代。
おじさんと言われて嬉しい要素は何もないが、そんなことを言う神山透は店を出てからというもの、箸が転がってもおかしい年頃、女子校生のようによく笑う。
それは、仕事の場面と先程の酔う前の打ちひしがれる神山透しか知らない私にとって、ほんの少しのことでも楽しそうにする乙女感満載のイケメンの姿というのは、新たな発見なのでもあった。
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