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「えっとね、神山……くん。多分この部屋は休憩料金から宿泊料金に移行されていると思うんですね。で、なんなら延長料金も発生してるのかもしれないんですよ。この手のホテルの延長料金は恐らく容赦なく高額になるはずですので、今はそんなことをしている時間は無く、早く退出する準備をすべきだと、先生は思いますよ?」
先生と言われたからには先生らしく。神山透にそう、とくとくと言い聞かせると、イケメンはしょんぼりした顔をして、「じゃあまた今度ですね」と言うのだった。
いやいや、今度なんかありませんから!!
心の中ではそう突っ込みながら、「ウフフ、ソウデスネ〜」と、お茶を濁して返事をしない私であった。
結局ホテルを出たのは朝の6時で、延長料金は発生しなかった。
駅までの帰り道、せっかくなんで手を繋いで帰ってもいいですか?などとイケメンは、乙女みたいにはにかみながら言うものだから、今後二度とこういうこともないことだろうからと、女子生徒みたいな神山透に合わせて「甘えん坊の生徒だなあ」と『彼女』の憧れの先生を気取って、来たときと同じく恋人つなぎをして帰るのだった。
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