はじまりの給湯室

4/5
前へ
/133ページ
次へ
女子力皆無の地味子で悪ぅございました! つーか5倍ってどういうことよ?? それって現状の女子力なさすぎなんじゃねえの?? あの同僚から私はどんな風に見えているというのか……。 手に持ったスティックコーヒーを同僚に見立てて、力いっぱいグシャリと握りつぶしてやるも、そんなことではこのモヤモヤ感がおさまる訳でもなく。 結局給湯室に入ることもできず、話を立ち聞きすることになってしまった私だけれど、このままコーヒーを入れずにスゴスゴ部屋に戻るものなんだか癪に障る。 おぬしら早く立ち去れい!!さもなくば仲間内にしか聞かれたくないであろうその会話をぶった切って中に入ってやるぞ!!とドス黒いオーラを放ち、強く相手に念じるも虚しく会話は続く。 「あんないい体してるのにね〜見た目だけかぁ、なんかガッカリ」 「でも夜以外は理想的なんだし我慢すればいいんじゃないの?どこかでつまみ食いしちゃうとか!」 「えーじゃあつまみ食いしちゃう?今度外資系の人と合コンするからその時がチャンスかなぁ?」 「あんたこの間もそんなこと言って合コン行ってたじゃん!この間帰りに一緒に消えた人とはその後どうなったのよ?」 「えー、ひみつぅ」 「洋子にこんなボロクソ言われてるとも知らず、社内で爽やかな顔してバリバリ仕事をこなす神山さんが不憫!!!」 「えーなによぉー、人ぎきの悪い!あんただって人のこと言えないでしょー?」 ……魔だ。ここに魔窟がある。 いよいよ聞いては行けないものを聞いてしまった気になり、コーヒーを入れに給湯室に乱入する気もなくなった。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1131人が本棚に入れています
本棚に追加