第2章 ワンコは嫉妬されたい

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 全く離してくれる気配はない。そのまま柊の愛車まで連れていかれて助手席に乗り込んだ。  この助手席には何度か乗ってきたけれど、毎回普段とは違う真面目な柊を見れてちょっと嬉しかったりもする。  運転中はさすがにふざけられないらしい。  しかも、高級車なのか乗り心地はめちゃくちゃいい。振動はほとんどないし、シートもちょうどいい柔らかさで長時間乗っていられるだろう。 「社長、あの……」 「ん?」  あぁ、やばい……。声がめちゃくちゃ甘い。  真面目な顔でイケメンだから、普段のふにゃふにゃしているふざけた感じが全くない今言われると、胸がキュンとしてしまう。 「ど、どこに行くんですか?」  多分もう、結構走っている。そんなに遠くまで行くのだろうか。 「んー美桜ちゃんが喜んでくれるところ?」  なぜ疑問形なんだ。そこは自信もって言おうよ。そうツッコミたくなる。  それから20分ほど、運転する柊の姿をチラチラ盗み見ていると目的地についた。 「ここって……」 「美桜ちゃん、好きでしょ?」  もちろん大好きだ。遠いからと諦めていたのに、まさか連れてきてもらえるとは思ってもいなかった。 「大好きです! 社長ありがとうございます」
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