第2章 ワンコは嫉妬されたい

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 私は頷いて、柊とは反対方向にある御手洗いに向かった。  待たせるのもいけないと思い、すぐ済ませて簡単にメイクを直してから柊がいる場所を探す。  人も結構いるから見つけるの大変かと思ったけれど、思ったよりも早く見つけることができた。だって、周りがみんな柊を見ていたから。  それも、ほとんどの人が女の人でカッコイイとか声をかけてみようかとか噂している。  確かにかっこいいけど、柊は私のだもん……。 「あの笑顔の破壊力はやばいね」  その声を聞いて、私も柊を見てみると何かを見て嬉しそうに微笑んでいた。その視線の先には綺麗な女の人がいる。  まさか、あの人が気になるの?  私は他の人を見て嬉しそうにしている柊のことが許せなくて、なんだかムカムカしてしまう。 「お待たせしました」  どうして他の人を見ていたの? と聞きたい。だけど、そんなことを聞けるはずもなく、さっきまで楽しくて上がっていたテンションが急激に下がっていった。  冷たく素っ気ない言葉になってしまうのを感じる。 「ん、……なんかあった?」  柊はどうしてそんな一瞬で見抜いてしまうのだろう。そんなに分かりやすかったのかな。 「なんでもないです」 「なんでもなくないでしょ? こっち来て」
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