第2章 ワンコは嫉妬されたい

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 てっきり怒るとか否定するとかすると思っていたのに、何故か口元を手で押えながら顔を背けてプルプル震えている。  そして次の瞬間、満面の笑みで私を見た。 「美桜ちゃんっ、それって嫉妬……だよね? うわぁ、美桜ちゃんが僕に嫉妬。嬉しすぎるっ」 「えっ?」 「どうしよう僕……、美桜ちゃん!」  もう、語彙力がどこかに行ってしまっていた。私はぽかんとするしかない。  こんな反応、全く予想できなかったのだから。 「僕には美桜ちゃんしかいないんだよ? 他の人なんて目に入らないくらいキミが好きなんだ」  少し落ち着いてきた柊はそう言って、私をぎゅっと抱きしめた。他の人には見せないとでも言うかのように、柊に包み込まれてしまう。その温もりがあたたかい。 「じゃあ、微笑んでいたのはどうしてですか?」  私しか目に入っていないなら、見ていたのは女の人ではないということだろうか。  どうしてあんな人の目がある場所で、嬉しそうに微笑んでしまったの? 自分がイケメンで影響力があるのだと自覚していないのだろうか。 「あー……、あれはその――」 「言ってください!」  誤魔化すことなんてさせないんだから。
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