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てっきり怒るとか否定するとかすると思っていたのに、何故か口元を手で押えながら顔を背けてプルプル震えている。
そして次の瞬間、満面の笑みで私を見た。
「美桜ちゃんっ、それって嫉妬……だよね? うわぁ、美桜ちゃんが僕に嫉妬。嬉しすぎるっ」
「えっ?」
「どうしよう僕……、美桜ちゃん!」
もう、語彙力がどこかに行ってしまっていた。私はぽかんとするしかない。
こんな反応、全く予想できなかったのだから。
「僕には美桜ちゃんしかいないんだよ? 他の人なんて目に入らないくらいキミが好きなんだ」
少し落ち着いてきた柊はそう言って、私をぎゅっと抱きしめた。他の人には見せないとでも言うかのように、柊に包み込まれてしまう。その温もりがあたたかい。
「じゃあ、微笑んでいたのはどうしてですか?」
私しか目に入っていないなら、見ていたのは女の人ではないということだろうか。
どうしてあんな人の目がある場所で、嬉しそうに微笑んでしまったの? 自分がイケメンで影響力があるのだと自覚していないのだろうか。
「あー……、あれはその――」
「言ってください!」
誤魔化すことなんてさせないんだから。
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