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第3章 ワンコは我慢できない
寝ててもいいよと言われたけれど、寝られるはずがない。私たちはテーマパークを後にして柊の家に向かっていた。
帰り道は、あれが綺麗だったとか楽しかったとか色んな話をしながら帰ったからあっという間に着いてしまった。
「あっ……」
「ん? どうしたの?」
家まで来てしまったけれど、重要なことを思い出す。私、何も持ってきていないのだ。
「えっと……そのコンビニ行ってもいいですか?」
「いいよ。行こうか」
幸い、近くにあるため歩いても行ける。でもこれからお泊まりするんだと自覚してしまうと、さっきまでなかった緊張が溢れてきた。
「あ、あと……私服とか持ってきてないんですけど」
「それは大丈夫。僕が準備してるから気にしないでいいよ」
え? 準備しているとはどういうこと? 私の服を柊が用意しておいてくれたの? やっぱり柊にとっては、今日のお泊まりは計画通りなのかな。
とりあえず服には困らなくて良いそうなので、コンビニでメイク落としや化粧水を買う。というよりも、私がお金を出す前に柊が買ってくれた。
「じゃあ帰ろうか」
私の手をつないで、マンションに入る。エントランスはクリスマス仕様に少しだけ飾り付けされていた。
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