第3章 ワンコは我慢できない

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 薄いものを想像していたのに、中に入っていたのはモコモコのクマの着ぐるみパジャマだった。ご丁寧に肉球の手袋もついている。  それに、どうしてサイズを知っているのかは分からないけれど下着もきちんと入っていた。  下着はとりあえず気にしないことにして、着ぐるみパジャマを着てみる。……とても温かい。それに可愛いし、私の好みでもある。だけど――。 「どうして今、これなの?」  予想外すぎて緊張していた力が抜ける。  ベビードールやネグリジェを期待していた訳ではないけれど、この選択肢は頭になかった。まぁ、こんなところが柊らしいとも思うけれど……。  せっかく用意してくれたのだから、柊に喜んでもらいたい。だから私は手袋もはめてリビングに戻った。 「お風呂、ありがとうございま……す?」  戻った途端、視界が真っ暗になった。 「やばい、可愛すぎる……どうしよう」  その声が頭の上から聞こえてきて、この暗闇が柊に抱きつかれたからだと理解した。 「あの?」  これはどういう状況なのだろうか。柊に喜んでもらえたから、良かったということにする? 「美桜ちゃん、ちょっとこれ被って僕のこと見上げてみて?」
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