第3章 ワンコは我慢できない

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 これというのは、服についているクマの耳がついたフードだ。私は肉球の手袋をつけていて自力で被ることができないので、柊がはいっと被せてくれる。  この格好で柊を見上げるだけでいいんだよね。私はチラッと柊の顔を見た。 「こ、こうですか?」 「くっ……くそっ……可愛すぎて抑えが効かない。どうしてくれるんだ」  柊はひとりで何かと戦っていた。どうしてくれると言われても困る。やれと言ったのは柊なのに。  私は恥ずかしいけれど柊に喜んで欲しいと思い、この状況を利用して自分から抱きついてみた。  多分、耳まで真っ赤になっているだろう。私だって、ここまで来て何もないのは嫌だ。このままだと、ただ私を愛でて終わりになってしまいそうだったので、自分から行動に移した。 「くっ……! 僕を悶え殺す気か!?」  次の瞬間、私は抱き上げられて寝室のベッドに運ばれた。  自分から望んだことだけれど、いざとなると恥ずかしくなってくる。それでも私は、今日を逃したくない。
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