第1章 ワンコは溺愛したい

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 反対をするとか文句を言う前に、みんな私たちのこの関係を楽しんでいる気がする。たぶん、私の思い違いではないだろう。  そして当事者である柊もまた、この関係を存分に楽しんでいた。 「さぁ、終わったよ! 美桜ちゃんおいで?」  本当に終わらせたんだ。しかも、たったの30分で。こういう時の仕事量が普段から出せたらもっと楽なのに、柊は全力で私に構うことを優先してくる。 「ほら、行ってきなさい。これはやっておくから」  先輩にも後押しされてしまい、私は渋々と立ち上がり柊のもとに近づいた。 「はいっ。ここ来て?」 「……」  きっと柊は、私がその声に弱いことを知っていて言っている。  まるで、他の人なんて誰もいないかのように、その瞳には私しか映っていない。それが嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、とても複雑だ。 「ご褒美、ちょうだい?」 「っ……! 少しだけ、ですよ?」  断れない私はその誘いに乗った。椅子に座りながら両手を広げて待っている柊の前に立つ。そして次の瞬間、私は膝の上に横抱きで抱き上げられていた。 「ちょっ! 社長、離してください」  抜け出そうともがくけれど、そんな意味がないほどすっぽりと抱き抱えられてしまっている。
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