第1章 ワンコは溺愛したい

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 一体当日は何をするつもりなのだろう。  きっと特別な何かがあるはずだと期待せずにはいられなかった。  その後、ワクワクした内心を悟られないように仕事を続けていると柊の内線が鳴った。 「はい。……分かったすぐ行く」  先程までの甘い雰囲気とは打って変わって、仕事用の真面目なイケメンの顔になる。  私の前と、外に出る時では二重人格かと思うくらい人が変わるのだ。その切り替えをどうやっているのかは知らないけれど、きっと裏の顔を知ったら憧れている人たちはびっくりするだろう。 「来客が来たから行ってくる。美桜ちゃんと離れたくないけど仕方ないね……」  内線を切るとすぐに裏の顔に戻ってそう言った。――さっきまでのイケメンの雰囲気がものすごく台無しな気がする。  この裏の顔に惚れてしまった私もどうかしているのかもしれないけれど……。 「待たせるといけないので、早く行ってきてください」 「もう、美桜ちゃんはつれないなぁ……そんなところも好きなんだけど」  柊はそう呟いてから、社長室を出ていった。まったく、最後になんて爆弾を落としてくれるんだ。先輩が笑いをこらえてプルプル震えているのが視界の端に見える。 「もう、ラブラブね。羨ましいくらい」
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