第2章 誘惑はいっぱい

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 前日の夜作って、イブの日仕事が終わったら渡す――、少し大変だけどそれなら用意できるかもしれない。  物にするのは迷うし、すぐ決められないだろうから……。それに、雅紀の欲しいものってなんだろう。私はチラリと雅紀のいる方をパソコン越しに見てみる。 「へぇー、愛されてるんですね」 「そうなんだよ! お前は彼女とラブラブするんだろ?」  雅紀はものすごく棒読みなのに、上司はそんなこと全く気にしていない様子で話している。  そしてその返事、私もすごく気になる。  普通カップルなら、先月くらいから誘っておいてくれてもいいと思わない? なのに、そんな気配全くないままここまで来てしまった。  いい加減、誘ってくれてもいいのに全く何も言わないのだから……。  私だって期待してずっと前から予定をあけているけれど、自分からクリスマス一緒に過ごそうと誘うのは、結構な勇気がいる。だから待っていたのに――。 「はぁ……そんな相手俺にはいないので。クリスマスは帰ってひとりで飲む予定です」  そもそも、一緒に過ごすという考えが雅紀にはなかったらしい。  ひとりで飲むなんて、私を誘うという考えはないのだろうか。
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