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「またまた〜そんなこと言って! そんな寂しい夜を過ごすくらいなら、あの子誘ってみろよ。今彼氏いないらしいぞ?」
「へぇ、そうなんっすね」
「あぁ、だから狙うなら今のうちだぞ。きっとすぐ相手が決まってしまうだろうからな」
そう言って上司がこっそり指さした先にいたのは、可愛いあの子だった。
よりによって……そう思ってしまったのは無理もない。もし雅紀があの子を誘ってしまったら、私に勝ち目なんてない。この間の茉依じゃないけれど、今の私もどんよりとした重い気持ちになってしまう。
もしかしてこのまま誘ってしまうの――?
私という彼女がいながら、あの子にも手を出すの? そんな不安が頭の中を駆け巡る。雅紀は私のモノだと言ってしまいたい。だけどそんなことをすれば、私は妬みの標的にされるだろう。
それを受け流すなんて器用なこと、私にはできっこない。
モヤモヤしたものが心の中でいっぱいの私には、雅紀がその後――俺はああいうぶりっ子よりも、裏表ない元気な子の方が好きですけどね……と言っていたのは、私の耳には届かなかった。
◇◇◇
「夏目くん、好きです。私と付き合ってください」
もう、何度目だろうか――。
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