第2章 誘惑はいっぱい

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 きっと茉依なら、あの場に出ていけたんだろうな……。そう思っていたら、ちょうど目の前から茉依が歩いてきた。  時間的にも、仕事が終わり帰るところなのだろう。 「あれ? 瑠花どうしたの?」 「なんでもない……」 「なんでもないって顔じゃないけど」  誤魔化そうと思ったけれど、無理だったらしい。そのまま会社の外に連れ出されてしまった。  居酒屋にいく空気でもないので、ゆっくり話せるカフェに連れていかれる。 「それで? 何があったの?」  茉依の心配は伝わってくるし、相談もしたい。だけどそのためには、私と雅紀が付き合っていることから言わなくてはいけない。  だけどこのままひとりで抱え込むのは無理だと思った。どこから話そう……。いきなり実は付き合ってます――でもいいかな? 「あのね、茉依――」  私は深呼吸をしてから、茉依に付き合っていることを打ち明けた。 「うん、気づいてたよ。やっと言ってくれたね?」 「えっ? どういうこと?」  ニヤッと笑って言った茉依は一ミリも怒っていない。どうやら茉依は、この間の居酒屋での一件を見てしまったらしい。トイレから戻ろうとした時にこっそりと。
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