第3章 独り占めオオカミ

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 だから今は家にいるはずだ。私はどうしようかと数十分、ケーキの箱の前で考え込んでいた。 「よし、行こう」  このままでは、せっかく作ったケーキが勿体ないし、私ひとりで食べるのも虚しいだけ。だから、雅紀の家に届けに行こうと立ち上がった時だった。  ピンポーン……。  軽快な音が部屋に響き、思わず肩がビクッと上がってしまう。  滅多に人が尋ねてくることなんてないのに、一体誰? 私は恐る恐るモニターを見た。 「えっ? 雅紀?」  どうしてここにいるの? 来るなんて一言も言っていなかった。さっき会社で別れた時も、普通にお疲れ様と言って出ていった。なのに、なぜいきなり私の家に?  ひとりで過ごしたいのではなかったの?  今から会いに行こうとしていたのに、いざ向こうから来られると、戸惑ってしまう。 「はい……」 「寒い……早く開けてくれ」  私は戸惑いながらも恐る恐るロックを解除し、家のドアを開けた。 「どうしたの? いきなり」  雅紀は何を言っているんだとでも言うような顔で私を見てくる。  あれ? もしかして、私が忘れているだけで約束していた?  でも、こんな貴重なこと忘れるはずがない。 「別にいいだろ? それより寒い。こっち来いよ」
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