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でも顔には出てしまっていたのか、ちょうど仕事を終えてエレベーターで降りてきた雅紀に突っ込まれてしまった。
「そんな顔してないし! ほら茉依、夏目くん来たから行こう」
「うん」
元気の無い茉依を引っ張って、私は何事もないかのようにふるまった。そんな私を見て、雅紀は何か言いたげにしていたけれどそれを言わせる隙を作らない。
チラチラと雅紀の視線を感じながらも、茉依の腕を引いて私たちはいつもの居酒屋に向かった。
お店に入った瞬間、いらっしゃいませ〜と言う元気な声とガヤガヤした雑音が耳に入ってくる。ちょうど席が空いていたらしく、すぐに案内してもらうことが出来た。
私が奥に入りその隣に雅紀、そして前に茉依が座る。何故かいつもこの席順だった。
隣にいる雅紀がちょっと気になるけれど、今日は茉依のために来たのだ。思う存分愚痴を聞いてあげよう。
雅紀は案内してくれた店員さんに、ビール3つと頼んで適当なおつまみも注文していた。
さらりとこういう気遣いができるのがすごいと思う。ただのイケメンではきっと好きになんてならなかった。気が合うのはもちろん、こういうところも好きになった要因なのかもしれない。
「もういい? いいよね?」
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