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茉依はそう言って、ビールが届く前に今回の経緯を話し始めた。お酒が入っていないのに、茉依の情緒はとても不安定だ。話しながら泣き始めてしまった。
どうやら、彼氏が女の人を連れてホテルに入っていくところを見てしまったらしい。それはさすがに許せないと私も思う。
「もうあんなやつ知らないんだから……」
届いたビールを一気飲みしてからも、茉依はひたすら愚痴を言っていた。
そんな時、横から雅紀がチョンチョンと私の腕を机の下で触ってきた。初めは気のせいかと思ったけれどどうやら違うらしい。
私はちらりと横を見たけれど、雅紀は茉依の方を見ていてこちらを見ていない。だけど、右手は何故か私の手を寄越せと主張してくる。
茉依にバレないかとドキドキしながらも、私は雅紀の誘いを断れずに手を伸ばしてしまった。見つからないように、机の下で隠れて繋がれる私の手は雅紀の大きな手に優しく包み込まれる。
そして、初めはただ繋いでいるだけだったのに、時間が経つにつれて動き始めた。
指を絡めてきたり、ぎゅっと力を入れてみたり、手のひらをくすぐってきたり……私の手で遊んでいる雅紀は少し上機嫌に見える。
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