第1章 指先のイタズラ

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 私は酔っていないのに顔が熱くなってしまい余裕がなくなっていくのに、雅紀は至って普段通りだった。  茉依は既に酔っているのか、私たちの手が机の下で繋がれていることには全く気づいていない。こちらの様子を気にする素振りもなく、何度も彼のことが絶対に許せないと話している。  だけど、手のひらに意識を持っていかれている私は、その話を聞いても相槌をうつだけで精一杯だった。  手を引っ込めようとしても、雅紀の指がそれを許さないというように捕まえてくる。  これ以上は限界――、そう思った時茉依がトイレに行ってくると席を離れた。 「ちょっと、雅紀っ」  その隙に、私は隣ですました顔をしている雅紀に抗議する。 「私の手で遊ばないでよ。茉依に見つかったらどうするの!」 「鳩原は自分の話でいっぱいいっぱいになってるから大丈夫だ。それより、お前のその真っ赤な顔をどうにかすればバレないだろ?」  そう意地悪にニヤッと笑う。  まったく、誰のせいだと思っているのよ。茉依ほどお酒は飲んでいないし、結構強い方だから、今飲んでいる量で酔うはずがないことは雅紀にもお見通しだった。 「雅紀が離してくれればどうにかなるでしょ」 「離してもいいのか?」
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