もう少しだけ〜逃走車〜

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もう少しだけ〜逃走車〜

「くそ!もう少しで巻けそうなのに!」 俺はパトカーから逃げている。友達を乗せ普通にコンビニから出て車道を走っていると、見回り中のパトカーから停車するように言われた。 「職質かな?とりあえず路肩に寄せようぜ……って、えーーー!?」 と、急にスピードを出して逃げ出した俺に助手席の友達は髪の毛が逆立つほど驚いていた。 「だめだ!停まったらやばいんだ!!」 「何言ってんだよ!?停らない方がやばいって!!」 「だめだ!だめなんだぁ!停まったらあいつと別れなければならない!!」 「はぁ!?何言ってんだよ!?」 パニックになっている俺は信号を無視しながらパトカーから逃げる。 「◎△$♪×¥●&%#?!」 友達は何を言ってるのか分からないくらい動揺している。途中で向かいから来た救急車とぶつかりそうになりながらも俺は逃げ続けた。 だめだ、停まってトランクを開けられたりでもしたらバレてしまう。バレたらもう一緒にいられなくなる。そんなの嫌だ! 結局、車の運転もそこまで上手くない俺は応援のパトカーに捕まった。逃げたことや信号無視等で罪も重くなった。友達は、車が停まった瞬間にドアを開けて外に飛び出し警察官に泣きながら「助けてください!」と抱きついていた。 そして、俺はトランクから持ち運ばれようとしていたカミツキガメが入った水槽に駆け寄り 「ガメラン!嫌だ!一緒にいたい!もう少しだけお前と一緒に暮らしたいんだあ!」 と、無許可で飼育していたカミツキガメのガメランの水槽に抱きつき泣きじゃくった。
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