もう少しだけ〜警察官〜

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もう少しだけ〜警察官〜

「逃走車を追跡中!応援願います!」 と、パトカーの車内に無線が入る。 「ここから近いですね。行きましょう!」 隣に乗っていた先輩と逃走車を確保するために僕はサイレンを鳴らしパトカーのスピードをあげた。 案外、あっさりと逃走車を追い詰めた。僕がパトカーから降りて逃走車に近付くと助手席のドアが勢いよく開き、男性が「助けてください!」と涙と鼻水でびしょびしょになった顔で抱きついてきた。 男性を落ち着かせながらパトカーに乗せて事情を聞く。そして彼から聞いた話しを他の警官に伝えていると、逮捕された運転手が必死に何かにしがみついて泣いていた。 「あーあ、これはとんだ変わった君だ。お前、慰めてやれよ」 と、先輩に言われて変わった君の所へ行く。 「君、そんなに泣かなくたっていいじゃないか。仕方ないよ。悪いことしちゃったんだし」 「ガメラン!嫌だ!一緒にいたい!もう少しだけお前と一緒に暮らしたいんだあ!」 「ガメラン?」 僕は、「?」を頭の上に乗せながら変わった君が抱きかかえている水槽の中を見る。 「カミツキガメか」 「ガメラン!俺を一人にしないでくれ!」 変わった君のあまりの必死さに少しばかり同情てしまった。 いや、少しどころじゃない。このガメランと変わった君の家族愛が伝わってくる。なんなんだ。カミツキガメだろ?なのに水槽越しに変わったくんに抱きつく仕草をしている! しかし、変わった君をもう連れていかなければならない。ガメランと別れさせなければならない。 「もう少しだけ待ってあげるから、ちゃんと別れをするんだよ」 僕は変わった君の肩をポンポンと叩き背を向けた。
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