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夏樹達が蝋燭を受け取った翌日の朝。
窓から差し込む陽の光の先。八時丁度を指す時計の掛かった柱の元にある小棚。その上に置かれた燭台に銀色の蝋燭が燃えている。
――信じ、られない……。
ベッドの傍には大きく目を見開いた夏樹と、今にも泣き出しそうな目で口を抑える海美。
そんな二人の視線の先――ベッドの上には、
「アナタ……? 海美……?」
上半身を起こした椿。
彼女は夢でも見ているかのような表情で夫と妹を見つめていた。
「椿……? 椿、なのか……?」
夏樹が声を震わせながら立ち上がる。そしてその瞳を震わせながら一歩、また一歩と椿に歩み寄っていく。そして――
「椿っ! 椿ぉぉぉぉっ!」
妻を力一杯に抱きしめる。
病室内に声が響き渡る。夏樹の背後で海美の目から涙が彼女の嗚咽と共に零れ落ちる。
夏樹の頬にも透明な雫が走って、陽光にきらりと輝いた。
「会いたかった。また話したかった。どうしても起きてるお前に会いたかったっ!」
固く抱きしめる。それに連れて頬を伝う涙の数も増えていき、椿の白い患者衣を濡らしていく。
そんな夫に椿は、同じく涙を溢しながら、
「――私も。もう一度アナタと話したかったっ」
と抱きしめ返した。
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