記念日に手向けるディアスシア

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 警察も友達も親も、そして私も――  罪滅ぼしってわけじゃない。でも、あの時何もしてあげられなかった。失ってから気付くなんて、愚か者だと言われても仕方がない。  だから今はこんなことしか出来なくて申し訳ないと思ってる。 「あの世であの子に謝って。同じところに行けるとは思ってないけど」  今日は妹の命日。  部屋を片付けたらお墓参りに行かないと。この日のために用意したディアスシアを持って、報告をしに行こう。  ようやく犯人を見つけたんだ、と。貴女と同じように死んだんだよ、と。ただ一つ、許せないのは……あんな男の腕の中で亡くなったと思うと、吐き気がする。  可愛くて自慢の妹だったのに、どうして齢十七でこの世を去らないといけなかったのか。母は後を追うように逝ってしまった。きっと何もしてあげられなかったことを悔やんでいたんだと思う。父は仕事を辞めて、酒に逃げた。そのまま身体を壊してしまい、今は入院してる。  私は……逃げることすら出来なかった。私も逃げてしまえば、父の入院費が払えなくなる。何より、一人にするのが申し訳なかった。でも、そんなことを考える必要もなくなった。  どうしてこんな風になってしまったのか、考えても誰も答えてくれない。それなら自ら『答え』を見つけるしかない。  正しいとか間違ってるとか、どうでも良かった。私の中の『答え』が合っていれば、それで良かった。  ただ赤い水溜まりの上で、声を殺して泣く。家族と同じ場所に逝けない私を許して欲しい――
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