2人が本棚に入れています
本棚に追加
警察も友達も親も、そして私も――
罪滅ぼしってわけじゃない。でも、あの時何もしてあげられなかった。失ってから気付くなんて、愚か者だと言われても仕方がない。
だから今はこんなことしか出来なくて申し訳ないと思ってる。
「あの世であの子に謝って。同じところに行けるとは思ってないけど」
今日は妹の命日。
部屋を片付けたらお墓参りに行かないと。この日のために用意したディアスシアを持って、報告をしに行こう。
ようやく犯人を見つけたんだ、と。貴女と同じように死んだんだよ、と。ただ一つ、許せないのは……あんな男の腕の中で亡くなったと思うと、吐き気がする。
可愛くて自慢の妹だったのに、どうして齢十七でこの世を去らないといけなかったのか。母は後を追うように逝ってしまった。きっと何もしてあげられなかったことを悔やんでいたんだと思う。父は仕事を辞めて、酒に逃げた。そのまま身体を壊してしまい、今は入院してる。
私は……逃げることすら出来なかった。私も逃げてしまえば、父の入院費が払えなくなる。何より、一人にするのが申し訳なかった。でも、そんなことを考える必要もなくなった。
どうしてこんな風になってしまったのか、考えても誰も答えてくれない。それなら自ら『答え』を見つけるしかない。
正しいとか間違ってるとか、どうでも良かった。私の中の『答え』が合っていれば、それで良かった。
ただ赤い水溜まりの上で、声を殺して泣く。家族と同じ場所に逝けない私を許して欲しい――
最初のコメントを投稿しよう!