帰らぬあなた

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 あともう少しだけ、お話しましょう。  いつもなら断られるその言葉が受け入れられたとき、きっとあなたは私を置いていく覚悟を、そのまま帰ってこない覚悟まで決めたのでしょう。私はそんなことにも気付かずに、お話をして。そうしてあなたは次の日に発ちました。  私は追いかけることができませんでした。それをずっと後悔しているのです。  あなたが帰ってこないという知らせはあれが終わる一週間前でした。そのころはそういった知らせが多くなっていたのです。  あなたはどこへ行ったのでしょう。例えば、あの世のようなものがあるとしてあなたが行ったところはどんなところなのでしょう。  ああ、あれで終わりだというのならば、私はもう少しだけあなたと話したかった。  あなたはどこへ、行ったのでしょう。
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