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「ごめん。ほんとに、ごめんね。」
エレベーターの中で、彼に届くはずもない懺悔の言葉を独白した。10階下の景色はあの時代からしたら未来のはずなのに、あの時代よりも灰色の世界に見えた。
3年前のことだったか、ある噂が世間を騒がした。“タイムマシンがついに発明された。”と電子ニュースのアーカイブスには書かれていた。もしもタイムマシンがほんとうに発明されていたら、どんなによかっただろう。200年以上も前のことでもよりリアルに感じれたかもしれない。あの空間がほんとうはどういった目的で使われていたか知ることができたかもしれない。実は彼も、その部屋の実際の使い方を知らないんじゃないかと、私は少しだけど疑っている。だから彼は少し、後ろめたいような表情を浮かべて、ただ黙りこくっているのではないか。
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