タイムスリップショータイム

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(おか)保美(やすみ)さんですね。いつもご利用ありがとうございます。はい、ただいまチケットのキャンセル・変更手続きを承りました。明日の始発は6時40分からとなります。」  私はあふれる涙を拭い、エレベーターに駆け込んだ。そしてエレベーターの中で急いでリニアモーターカーのキャンセルを済ませた。エレベーターの扉が開くと、彼に急いで抱きつこうとしたが、彼の姿はもうそこにはなかった。  放心状態のまま私は受付へと戻り、彼の行き先を聞いたが、受付からは衝撃的な返答が帰ってきた。 「(おか)保美(やすみ)さんおめでとうございます。あなたは見事歴史クイズ“カラオケボックスの謎”を解き明かしましたね。賞品としてこの昔使われていたマイクという骨董品をプレゼント致します。ちなみにこのマイクもマイクロフォンと呼ばれていたので、一時期マイクロチップフォンの俗称マイクロフォンと混同されていたんですよ。」 「あれ? どういうことでしょうか。気良(けら)正史(まさし)さんはいったいどこに?」 「あら、我が社のクルー気良(けら)隊員を気に入りましたか? また歴史体験クイズツアーをする時には是非彼を指名してくださいね。」  どういうことだろう? もしかしてこれは夢なのだろうか。私ときどき、リアルすぎる夢を見てしまうから。夢なら覚めてほしい。それとも、これが現実だったら、どうかあの心地よい夢の続きを、どうかもう少しだけ。
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