もう少しだけふたりで

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 恵美子は誰にも気づかれていないが心の中はざわついていた。 今日は20年ぶりの同窓会が開かれるところなのだ。 中学3年生の時の同窓会だから、みんな35歳になっている。 35歳と言うのは、何とも微妙なお年頃である。 まだまだ独身で楽しくやっている者もいれば、すでに結婚に夢敗れた者、シングルマザーで頑張っている者など人それぞれだ。 でもこうして招待状の出席欄に丸をつけてくる者たちだから、まぁまぁな暮し向きなんだろうと思う。 今回、恵美子は幹事をしている。 担任だった中田福美先生と未だに手紙のやりとりをしていた恵美子は、先生から「定年を機にみんなに会いたいわ」とやんわり催促されてしまい、おめでたい事だし、同窓会をやってあげようと思ったのだった。
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