4.サンタクロースは寝てる間に。

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◆◆◆◆ 牧村は吉里のマンションの来客用駐車場にジャガーを滑り入れると、エントランスに向けて走った。 『だって昔からあいつ、年中行事とか祭りとか大好きだから』 篠崎の声を思い出す。 「ーーなんでそういうこと言わないかな!あの人は!」 エントランスの自動ドアを抜ける。 『―――じゃあ、今週末なんかも忙しいですよね?』 吉里の言葉を思い出す。 「ピークだね。大晦日と元旦は客動かないから、その前と後の土日がピーク。だから多分会えないすね」 自分の素っ気ない言葉も思い出す。 『今年のXmasイブなんですが、彼女と二人きりで過ごせる最初で最後のイブなんです!』 記憶の中に保坂の声が混ざる。 『イブだけでいいんです!イブだけで!』 『でも平気ですか?課長も恋人とすごしたりとか……』 「くっそ……!!」 自分の鈍感さに腹が立つ。 吉里の気持ちなど一つも考えていなかった。 もしかしたら初めてのクリスマスを楽しみにしていてくれたかもしれないのに。 もしかしたら自分たちの“最初の夜”を期待してくれていたかもしれないのに。 『年中行事とか祭りごとが大好きだから……』 篠崎の声が頭に響く。 『好きが高じて民俗学者になったんだろ?』
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