4.サンタクロースは寝てる間に。

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部屋番号を押してベルを鳴らすが、応答はない。 仕方がないので胸ポケットからスマートフォンを取り出し、電話を掛ける。 『―――あれ?牧村さん』 吉里の落ち着いた声が響いた。 『どこ?吉里さん!』 そう言うと彼は戸惑ったように息を吸った。 『え、まだ、大学ですけど?』 「は?こんな時間に?」 腕時計を見下ろす。もう23時になるところだ。 『ええ。ゼミ生の年末年始を潰しちゃ可哀そうですから。今のうちに卒論の添削やってました』 「―――――」 ――なんだよ。取り越し苦労じゃねえか。め! 牧村はエントランスの真ん中でしゃがみこんだ。 『牧村さんはお仕事終わりましたか?』 吉里のいつもの柔らかい声が響く。 「ーーー終わった」 『お疲れ様です』 『ーーー吉里先生?』 後ろから女の声がして、牧村は危うくスマートフォンを落としそうになった。 『ここの話の展開の仕方なんですけどー』 『あ、ちょっと待ってね』 そう言うと牧村は声を潜めた。 『土日、無理しないで頑張ってくださいね』 「あ、はい……」 『おやすみなさい』 「―――え?」 電話は切れてしまった。 「ゼミ生って……」 ―――女かよ。 牧村はその言葉を飲み込むと、しゃがんだまま頭を垂れた。
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