4.サンタクロースは寝てる間に。

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◇◇◇◇ アラームが鳴り、牧村は慌てて飛び起きた。 どうやらソファで寝てしまっていたらしい。 ひじ掛けで変に寝癖がついてしまった茶髪をボリボリと掻く。 「―――?」 ローテーブルに置きっぱなしだったはずの缶ビールがない。  代わりに赤いリボンのついた箱が置いてあった。 「――んだ?これ……」 開けてみる。 「――――!!」 慌てて部屋を見回す。人の気配はない。 スマートフォンを手にし、電話を掛ける。 『――おはようございます』 まるで電話が掛かってくることをわかっていたかのような吉里はフフフと笑った。 『サンタさんはちゃんと来てくれましたか?』 「――――!!」 昨日の夢での会話……。 何処までが現実だ? 「ーーー来て、くれました?」 逆に聞き返すと吉里は笑った。 『……ゼミの子たちがサプライズでくれたんです。俺にパートナーができた記念だって』 「―――これを俺に?」 『そう。俺とお揃いです』 吉里は笑った。 『これからXmasは毎年一緒に過ごせるように、ですって。粋なことしますよね』 「――――」 鼻の奥が痛くなる。 准教授にそれをプレゼントした生徒たちの純粋なる好意に。 それと、わざわざ届けに来てくれた恋人にも。 『メリークリスマス!牧村さん。それ、今日付けて行ってくださいね?』 吉里が笑う。 「――――」 牧村も思わず吹き出した。 「今日以外にいつ付けろって言うんすか」 牧村の手の中には、サンタとツリーが印字された赤いネクタイが握られていた。 【完】
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